2024年11月1日14時に公表された日銀の「経済・物価情勢の展望」に不穏な記載があったので記事にします。
日銀レポートに「半導体株価の伸びが頭打ちにあるようにみえることには注意を要する。」との不穏な記載が・・・
日銀のレポートによると、ITサイクルと半導体株価は連動していて天井にあるように見えることに注意を要するとのこと。
世界半導体出荷額は半導体株価指数(フィラデルフィア半導体株価指数)と連動しており、足もとでは半導体株価の伸びが頭打ちにあるようにみえることには注意を要する。
この部分の理解が、半導体株に投資するか否かを判断するうえで重要になります。
1つ1つ分解してみていきましょう。
1.世界半導体出荷額にはサイクルが存在する
これは疑いようのない事実です。主にAI革命によって半導体需要が増えていくのは確実ですが、サイクルがなくなるわけではありません。確かに生成AIの本当にすごいです、しかし今回だけは違うと確信するには根拠が弱いです。
2.世界半導体出荷額は半導体株価指数と連動している
これも事実です。これはたまたま連動しているわけではなく、ちゃんと理由があります。
株価の裏付けは将来の収益なのだから、出荷額と株価のサイクルが連動することに違和感はありません。
3.半導体株価の伸びが頭打ちにある
グラフをみると株価が天井付近にあることは間違いなさそうです。
少し気になるのは、2022年10月の谷が深かっただけに、その振り戻しも大きいはずだろうということで、さらなる一段高があっても不思議ではありません。
また、サイクルの天井付近の幅も2年くらいは続いている傾向があり、2023年6月を起点とすると2025年6月頃まではサイクルの天井付近を保ち続けることになります。
SOX(フィラデルフィア半導体株指数)の株価チャート
SOX(フィラデルフィア半導体株指数)の株価チャートを見てみましょう。
きれいな右肩上がりです。2010年から約15倍になっています。
この間のS&P500は約5倍なので、SOXは凄まじい上昇を遂げたことになります。
サイクルチャートと株価チャートを重ね合わせる
ここまででわかったことをまとめると、
- 世界半導体出荷額にはサイクルが存在する
- 世界半導体出荷額は半導体株価と連動している
- 足元のサイクルは天井圏にある
- SOXは長期的には右肩上がり(約15年で約15倍)
ITサイクルと半導体株価の図とSOXチャートを重ね合わせてみました。
(無料版のCanvaを使っているため不鮮明な図となり申し訳ございません。)
たしかにサイクルに伴ってSOX株価が上下しているのがわかります。
ただし、SOX株価の上昇が急であるためチャート前半のサイクルでの下落は小さくみえます。
SOXが長期的に上昇していくとの前提に立てば、サイクルの頂点で買ったとしてもいずれ報われますが、短期的にみればサイクルの底まで待って買いたくなります。
まとめ
個人的な意見になりますが、半導体の将来が明るいことに疑いの余地はなく、2030年までは半導体出荷額の増加に伴いSOXも右肩上がりに上昇すると考えています。
半導体ほど将来の成長が約束された産業もそうありません。
ただし、半導体株にサイクルがあることもまた歴史が証明していますので、半導体株への新たな投資は次のサイクルの底を待つつもりです。サイクルがあるとわかっている株を天井付近の後半で買うのは、短期的にはアップサイドよりもダウンサイドのほうが大きいとの判断です。
サイクルの底を待って、SOXL(米国株式市場に上場する半導体セクター銘柄で構成された「ICE半導体指数」に連動し、運用実績の3倍の投資成果を目指して運用されるETF。)に大きな資金を投入できれば最高の結果になりそうです。