ベネッセMBO上場廃止から得た教訓

ベネッセホールディングス(9783)が1株2,600円でMBO1、上場廃止すると発表。

  1. Management Buyoutの略称でM&Aの手法のひとつ。会社の経営陣が、金融支援(=買収をしようとする企業の資産や将来のキャッシュフローを担保として投資ファンド等からの出資・金融機関からの借入れなどをおこなうこと)を受けることによって、自ら自社の株式や一事業部門を買収し、会社から独立する手法のこと。(出典:野村証券 証券用語解説集) ↩︎

数か月前に保有株の大半を損切りした、100株ホルダーの私としては納得のいかない結末となりました。

2022年8月に平均単価2,180円×1,600株で合計3,488,000円分買い、
今年の6月に-16%の1,830円で1,500株、合計2,745,000円分損切りしました。

約52万円の売買損失です。そこから配当金96,000円と株主優待23,400円分、MBOでの利益42,000円を差し引いても約36万円の損失になります。


なぜベネッセを買ったのか

買った理由は、本質的価値より株価が低いと判断したから。

進研ゼミなどの子供向け事業や、中国事業は苦戦しており、将来の見通しもよくありませんでしたが、事業内容の強みもいくつかありました。

  • 万年赤字柱のベルリッツ売却により、利益は回復し、今後安定した利益を出し続けることができる。
  • 小中学校向け授業・学習支援ソフト『ミライシード』は経済的な堀が高く、寡占状態になる可能性がある。
  • 政府のリスキリング支援により、Udemyを核とした社会人事業領域は順調に拡大している。
  • 介護事業はブランド力の高さを生かし、価格決定力がある。

ベルリッツ売却は収益力アップに大きく貢献し、毎年数十億円の利益増が見込める。介護事業のマイナスもコロナ禍からの光熱費高騰によるものであるため一過性のもの、今後EPSは毎年右肩上がりで上昇するだろう。

ベルリッツ売却前より株価が下がっているのは明らかなミスプライシングだという考えが買いの決め手となりました。



利益は回復傾向も株価は低迷を極める…

保有期間中に事業内容の著しい悪化は特に見受けられず、むしろ利益は回復傾向でしたが、株価はだらだらと下げ続け安値を更新、一度も反発することのない、買った人ほとんどが含み損という非常に苦しい展開でした。

ベネッセ 月足株価チャート

にもかかわらずその期間の決算会見では、CEOと幹部から株価を上昇させようとする気力や株主への誠実さを読み取ることができませんでした。

長期的に株価を低迷させ、株主に損失を与えているにも関わらず、決算会見はにやにやしながら淡々と終了。株価低迷について深刻に捉えている様子は一切なし。なぜこの体たらくで責任を問われる立場であるCEOがにやにやできるのか、私には理解できませんでした。

株価が長期間低迷しているにもかかわらずCEOをやめさせることもしない。

決算会見では毎回全くの無為無策。

このような状態から、ベネッセは企業として株価を上げようとしておらず、大株主も株価を上げようとアプローチしていないのだと察し、損切りを決めました。

いくら本質的価値が株価より高くても企業として株価を上げようとせず、株主からも株価を上げる圧力がなければ株価は低迷し続ける可能性が高い。

損切りの判断は間違っていなかった。



MBOを見据えた経営者側にとっては株価を下げることにインセンティブがある

ベネッセが株価を上げようとしなかったのは、MBOを想定していたからなのでしょうか。

企業として株価を上げる努力の一切を放棄し、だらだらと株価を下げ続け、最後はMBOで終わり。

こんなこと許されていいのでしょうか?

MBOの考えはいつ頃からあったのか。会議録や電話の記録、メモ、幹部の会話などから時期を明確にしていただきたい。

証券取引等監視委員会はこの辺をしっかりと捜査すべきなのではないでしょうか。

株価長期低迷後にMBOされることは長期投資家にとって大きなリスクです。

2,600円より上で買って株価が戻ると考えて保有している人たちにとっては、強制損切りのようなものです。

これだから日本株には心底呆れるんですよね。

創業者・経営者優先で株主軽視の企業が多すぎる。

もちろん日本株の中にも素晴らしい企業は幾つもあります。

しかし、米国株に比べて株主利益を本気で考えている企業は相当少ない。そのため、銘柄選択の難易度が高くなります。

その辺も十分注意して銘柄選択をせねばなりません。


株価を上げたくない人たち

私の購入時の記録を見ると、想定売値を2,600円としていました。奇しくも今回のMBOの価格と全くの同額です。

本質的価値の想定は当たっていたのです。

損切りしたことも間違いではない。

MBOは全く予想していませんでした。

この”全く予想していなかった”というのは恥ずべきことです。少なくとも選択肢として頭に入れておかなければいけなかった。

予想していないというのは言い訳にはならない。

1番やってはいけないことだと思っています。

選択肢として考えつつも排除したのであればいいですが、はなから全く頭にないというのは大いに問題です。

反省しなければなりません。

私の経験不足もあり、MBOの考えは一切なかったので、当時損切り以外の選択はありえない。

間違いはそれだけだろうか?ベネッセの売買でMBOを想定できなかったこと以外に、私は何か間違ったのか。


この取引での最大の間違いは、この銘柄を買ったことです。

今回のベネッセの売買から、次の教訓を得ました。

本質的価値を測ることに成功しても株式投資が成功するとは限らない。株価が本質的価値に戻るまでの期間を予測するのは難しい。

・自社の株価を上昇させる意欲のある企業にのみ投資する。

・経営者が有能かつ誠実な企業にのみ投資する。

・事業内容が素晴らしい企業にのみ投資する。



上場企業なのだから、自社の株価を上げたいと思うのは当然だろうと頭の片隅で思ってしまっていました。

自社の株価を上げたくない人たちも存在するのです。

そういう人たちが操っている企業に投資するのは徒労に終わることになる。

相当胃がむかむかしますが、今回の売買はとてもいい経験になりました。

保有している100株は昨日2599円で売りました。

株主に対して不誠実な企業のことはもうあまり考えたくない。

26万を早めに回収し別の有望な銘柄へ、資金と思考を移していきます。

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32歳の平凡なサラリーマン
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