11月8日の決算発表を受け、11月9日の市場では株価が7%上昇しました。
パウエル米FRB議長のさらなる金融引き締め発言により、金利が急騰。堅調に始まったS&P500が急落し、終値-0.80%という地合いの中での7%上昇は非常に価値があります。
マーケットが弱含む中で、引っ張られずに上昇を維持したことは、銘柄の力強さを証明したと言ってよいのではないでしょうか。
決算のポイントを見ていきます。
売上と利益
- 四半期売上は前年同期比5%増加、年間売上は7%増加
- 四半期調整後EPSは前年同期0.30ドル→0.82ドルに増加、年間EPSは3.53ドル→3.76ドルに増加
決算のポイント
- Disney+新規加入者:第4四半期に700万人。これでDisney+加入者総数は1.5億人に。
この四半期の主要なストリーミングコンテンツは、劇場タイトル「マイエレメント」、「リトル マーメイド」、「ガーディアンズ オブ ギャラクシー」、オリジナルシリーズ「アソーカ」と韓国オリジナルシリーズ「ムービング」。
- ストリーミング事業は 2024 年度第 4 四半期に黒字化すると引き続き予想。
- 国内 ESPN の売上と営業利益は 2022 年度と 2023 年度の両方で前年比増加し、スポーツの価値と ESPN ブランドの力を証明。
- エクスペリエンスの営業利益は前年同期と比べて 30% 以上増加し、すべての海外サイト、ディズニー・クルーズ・ライン、ディズニー・バケーション・クラブ、ディズニーランド・リゾート全体で前年比成長を記録。
- 引き続きコスト削減(リストラを徹底)に取り組み、目標を以前の 55 億ドルから 75 億ドルに引き上げる。
- 2024年度のフリーキャッシュフローは2023年度と比較して大幅に増加し、パンデミック前の最後に見られたレベルに近づくと予想。堅調なフリーキャッシュフローの継続的な成長と、強力なバランスシートが復活する。
ロバート・A・アイガー最高経営責任者(CEO)のコメント
ロバート・A・アイガー最高経営責任者(CEO)
「今四半期の業績は、この1年間で達成した重要な進歩を反映している」
「私たちにはまだやるべきことはありますが、これらの取り組みのおかげで、この修正期間を乗り越え、再びビジネスを構築し始めることができた」
「当社には過去 1 世紀にわたって構築された卓越した創造性とイノベーションの強固な基盤があり、それは今年行った重要な再編とコスト効率化の取り組みによってさらに強化されており、約 75 億ドルのコスト削減を達成する予定」
「価値ある事業、ブランド、資産のポートフォリオとそれらのシナジーにより、ディズニーは業界の他の企業と差別化する強力な力を持っている」
「今後に向けて、当社の成功の中心となる重要点は以下の 4 つ。これらに対して強気。」
- ストリーミングビジネスで大幅かつ持続的な収益性を達成すること
- ESPN を優れたデジタル スポーツ プラットフォームに構築すること
- 映画スタジオの生産性と経済性を改善すること
- パークおよびエクスペリエンス事業の成長を加速すること
今回の決算は株価の分水嶺になり得る
今回の決算はウォルト・ディズニーの事業の力強さ復活、強力なコスト削減、ボブ・アイガーCEOの有能さを鮮明にしました。
ウォルト・ディズニー・カンパニー創立100周年の意地でしょうか。
今回の決算で見事に反撃の狼煙を上げました。
Disney+の新規加入者の上振れは嬉しい誤算でした。
さらに、Disney+にはパスワード共有の厳格化という伝家の宝刀も残している。
パスワード共有の厳格化はネットフリックスが実施し、大幅な加入者の増加につながった成功事例があります。
100周年記念作品『ウィッシュ(WISH)』の上映も控え、一気に体制を整えてきました。
ウィッシュは、『アナと雪の女王』や『ズートピア』のスタッフが制作に携わる。
私も予告を見ましたが、期待できそうです。ディズニープリンセス作品は勝率が高いこともありますし、何より100周年記念作品であるためディズニーの威信をかけて送り出すはずです。
ウィッシュで映画作品事業も復活を遂げることができるでしょうか。
その他、気になるのはスピンオフ等の事業再編です。コスト削減の流れでシナジーの低い部門を切り離すこともあるのかもしれません。この辺の動きは注視していきたいですね。
今回の決算で今後の収益の見通しは立ちました、復配もそう遠くないのではないでしょうか。
堅調なファンダメンタルズを根拠に株価は下げ止まり、長期的な上昇トレンドを描くでしょうか。
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